警察に職務質問された
毎年バレンタインが近づくたびに思います。
バレンタインが近い!えらいこっちゃ!と。
何がえらいこっちゃかと言いますと、僕チョコ大好きなんですよ。
ならいいじゃんバレンタイン嬉しいだろって思った奴、虫歯でなるべく苦しんで死んだらいい。
バレンタインてのはね、モテル、モテナイに関らず女の知り合いが多ければ多いほどチョコをもらえる日であって
僕みたいに女友達どころか男友達すら絶滅したんじゃねーかってくらい友達の少ない人間はどうしたって、チョコの数は少なくなります。
好きな人だけにもらえればいい?
寝言は寝て言え。俺は物理的に大量にチョコが食いたいんだ。
本命だろうが義理だろうが味なんて正直そんなに変わんねーんだよ。
だからバレンタインが近づくとチョコが食いたい衝動と、この時期にチョコは買えないという、男の子の意地がぶつかり合う時期なわけです。
今はそれほどチョコ食わなきゃ死ぬ!ってわけでもないですが高校生の時代は酷かった。
ホントに発作が起きるんじゃないかってくらいチョコが食いたかった。
血を欲しがる吸血鬼のように苦しんでた。
ついに2月13日の夜中にどうしてもチョコが食いたくなってコンビニに買いに行こうと決意したんです。
でも「二月中にチョコ買ったら負け」みたいなわけのわからん自分ルールみたいなのができてたもんで、
チョコを買うのに大義名分が必要になったわけです。しかもバレンタインの前日だし。
だから「俺はホモ。ホモだからチョコ買う。男にあげる。おかしくない。」
とか、どう考えてもおかしい理論をぶちあげて買い物に行きました。
きっと脳みそがチョコ並みにとろけてたんだと思う。
もちろんちょっとホモっぽくクネクネしながら。
コンビニにつくともちろんホモがチョコを買いにきたんだから普通のチョコとか買えません。
ちゃんと人にあげるようの、包装紙とかに包まれちゃってるチョコを買わなければ、ただのクネクネ野朗が深夜に気が狂って買い物に来ただけに見られてしまう。
それは近所だけに避けたいところ。
コンビニの兄ちゃんにちょっと冷めた目をされましたけど
無事にクネクネしてチョコを買い、クネクネしながら帰っていると
不審者と勘違いされたのか、おまわり屋さんに声をかけられました。
もちろん設定はホモですからホモっぽくクネクネと対応しなければなりません。
が、突然の職務質問にビックリしてそんな設定なんか頭からモロっと抜けちゃいましてね
「君、こんな時間に何やってんの」
「ピ!?」
「未成年だろ?タバコとか買ったんじゃないのか」
「いいいいいいや、タタタタバコはタバコですから!」
何を言ってるのかはわからないが、こんなにテンパった高校生が夜中に買い物袋持ってたら怪しいです。
おまわりさんは僕の袋を見ます。この警官はちゃんと仕事してる。
でも持ってるのはタバコじゃなくてチョコ。しかもプレゼント用。
おまわりも何だか見てはいけないものを見てしまった感じで気まずい雰囲気で苦笑い。
「オイオイいくらチョコもらえないからって、そりゃないぜスティーブ。」
そんなアメリカンな表情をしていた。
僕は恥ずかしさとテンパってるのでもうわけが分からない。
「チョコ買ったのか。バレンタインだもんな」
「チョチョチョチョチョコです!」
すでに会話は成立していない。
僕の思考回路はショート寸前。今すぐ会いたいの。パパヤパヤ
「チョコ好きなのか?」
「チョコ、スキ!」
オウム返し。
きっとおまわりさんは九官鳥か何かと話してる気分だったに違いありません。
パプアニューギニアの原住民だってもっとまともなこと言うだろうが、ショート寸前どころか実際に気が触れそうだった。
早くこの場を逃げ出したかった僕にはこれが限界。
初めての職務質問に僕の心臓はドキドキしっぱなし。やだ、これが恋なの。
おまわりさんにはきっと僕があまりにチョコがもらえないから夜中に自分で買って、次の日さも女の子からもらったように偽造しようとしてるように見えたんでしょう。
やけに優しかった。
おまわりさんは「いっぱいチョコもらえるといいな」と言ってくれた。
僕は、わずかに残った理性でさわやかに
「あはは、そうですね。でも男子校なんですよねー」
と返そうとしたんですが、何か急に自分の置かれてる状況のアホさ加減に笑いがこみ上げてきて
「男子校だもんでヌホホホホ!」
最後だけホモっぽく言ってしまった。
まるで男にチョコをあげるのが楽しみみたいな言い方だった。
おまわりさんはちょっと引いた笑顔で見送ってくれた。
さっきまでクネクネしてたのに何かカクカクした動きで家まで歩いた。
思い出すと死にたくなるけど、ちゃんと同級生のチギラ君の名前を名乗っていたところだけは冷静だと思う。
ああ、チョコは全部食ったさ。
対策?
これは国家権力だけでなく自分の心の弱さとも対決するという深いメッセージ性が込められた作品(笑)です。
さて、みなさん職務質問うけたことありますか?
あれってけっこう緊張しちゃうんですよ。特に初めてだとね。
これは僕が始めて職務質問されたときの話なんですが、ガッチガチでしたよ。
まだ、こういった経験になれていなかったのでね、今ではすらすらと答えられるようになりました。
偽名を。
まあ、正直に受け答えして何にもやましいことがなければすぐに終わります。
偽名などは使わずに正直に答えましょう。
例:「はい、女子高生の帰りを待ち伏せしてました。」
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